老人ホームも孤児院も予算が少ないため、ギリギリの体制で運営している。当然、施設にも入れないご老人、子供たちはもっともっと、貧しい生活を強いられている。おのずとストリート・チルドレンは増え続けている。現在ジャマイカでは、国家予算の7割が国際貸付機関に対する債務返済にあてられ、残りの3割で国家を維持しなくてはならない状況にある。このため政府は、社会的なサービスをグレードアップすることもできず、経済の成長を促すための技術も得ることができない状態にある。したがって、雇用を拡大するということも出来ないでいる。
以下は日本からの政府開発援助(ODA)の実態だ。現ジャマイカ政権は一国主義を排し国際協調の強化を図ることを外交の基本方針としており、その下で脆弱性を有する島嶼小国家から
なるカリブ諸国の持続的発展のための国際協力の維持、具体的にはバナナ、砂糖等農産品に関する対カリブ特恵措置の継続働きかけ等を外交の主要課題としている。また、カリブ司法裁判所及びカリブ単一市場経済の早期創設に積極的である。外貨獲得の主力は海外在住者からの送金と観光収入であり、次いでボーキサイト、アルミナ及び農産品の輸出である。外貨獲得手段が限られることに加え、食料・石油を輸入に依存していることから、ジャマイカの経済は欧米先進国の景気、金利情勢や輸出品目の国際価格動向等の外部要因に対して極めて脆弱である。 政府は、2004年8月現在で48億ドル(米ドル、以下同じ)を超える対外債務と1973億ドルを超える国内債務をかかえており、財政出動の自由度に乏しい。経済成長率は、債務負担軽減を目標にした政府の緊縮財政・高利子率政策を背景に1996年以降低迷していたが、ここ数年は回復基調にある。2004年度の成長率については、ハリケーンによる被害からの復旧や食料価格と最近の石油価格の高騰もある中で、現在は2.3~2.5%程度の成長率見込みとなっている。今後の経済運営の中・長期的課題としては引き続きインフレ抑制、金利の引き下げ、内外の投資促進による民間活力の引き上げ、生産性向上等が挙げられている。
2004~2007年の開発課題
2004~2007年を見通した「中期社会経済政策フレームワーク」(財務・企画省、企画庁、中央銀行共同作成)によれば、財政中期支出計画の重点支出分野は、2004/2005年度が保健・衛生、教育及び治安であり、2006/2007年度は運輸、建設、観光、鉱業等となっている。経済面では、公共部門の近代化、及び民間部門の雇用を伴う成長再開等を政策目標としている。社会面では、高齢化対応と福祉制度の近代化、幼児の発育に関わるニーズの確保、中等教育のカリキュラム統一・就学率向上、犯罪と青少年問題(男性は学業不振と犯罪、女性は失業と性に係る健康)及びジェンダー問題等の克服を課題としている。
ジャマイカの側面。